名作日誌

1)今後の予定

  12月21日(金)10時30分~

  永井 荷風の「濹東綺譚」

2)開催済み

永井 荷風の「濹東綺譚」

執筆に当たっては樋口一葉の「たけくらべ」を意識しながら、同じように物語の筋のある小説というより、作中人物の生活や事件が展開する場所や背景を情味を以て克明に描き写した一種の随筆的小説である。

「たけくらべ」が明治の吉原を伝えた如く、「濹東綺譚」は玉の井という昭和の私娼窟を風物詩的に後世に伝え残そうとしたものである。


森 鷗外の「舞姫」

ドイツ留学後発表されたドイツ三部作の一つである。日本人男性とヨーロッパ人女性との心の交流(と挫折)を描く作品として、太田豊太郎の手記で「余」は、エリスと自らの閲歴をまるで一遍の演劇の様に描き出す。

雅文体(古文調、漢文調)で書かれた文章である。


泉 鏡花の「高野聖」

北陸の旅の夜、道連れの高野の旅僧が語りだしたのは、飛騨深山中で僧が経験した幻覚と恐怖、なまめかしくも魑魅魍魎にうなされ悩ませる残虐な物語。自由奔放な幻想の中に唯美ロマンの極致をみごとに描き出した鏡花の最高傑作。


正岡 子規の「病牀六尺」

結核カリエスで激痛なしに身動きできぬ病床から新聞連載「病牀六尺」を死の2日前まで続けた。「果物帖」「草加帖」を作り絵に打ち込むなど病床外への関心は目を瞠らせるものがある。俳句、短歌の革新と写生文による文章革新があった。


中 勘助の「銀の匙」

なかなか開かなかった古い茶箪笥の抽匣から見つけた銀の匙。伯母さんの限りない愛情に包まれて過ごした少年時代の思い出を自伝風に綴った作品。

夏目漱石がこの作品を認め推薦することで、朝日新聞へ掲載されることになる。


樋口 一葉の「にごりえ・たけくらべ」

酌婦の身を嘆きつつ日を送る菊の井のお力のはかない生涯を描いた「にごりえ」。東京の下町を舞台に、思春期の少年少女の姿を描く「たけくらべ」。

一葉の代表作を読み明治の女流文学にふれる。


島崎 藤村の「千曲川のスケッチ」

藤村が信州小諸で教員として六年間を過ごしたおり、千曲川にのぞむ地の人びとの暮らしや自然を詩情豊かに描いた。